むかしむかし、あるところに、年をとったロバがいました。
農家でずっと荷物を運んで働いてきましたが、年をとって力が出なくなり、主人に捨てられそうになります。
「このままじゃ、ひどい目にあう……そうだ!ブレーメンに行って音楽隊になろう!」
ロバはそう言って、町のブレーメンを目指して歩き始めました。
すると、道の途中で、年をとった犬に出会いました。
犬はハアハアと苦しそうにしています。
「どうしたんだい?」
「年をとって、狩りに行けなくなったんだ。家を追い出されて、どこに行こうか迷ってるのさ……」
「それなら、一緒にブレーメンを目指さない?音楽隊になろうよ!」
「それはいい考えだ!ワンワン!」
ロバと犬は、いっしょに旅を続けます。
しばらくすると、年をとったネコに出会いました。
ネコはしょんぼりとうなだれています。
「どうしたの?」
「年をとって、ネズミが追えなくなったの。だから、家を追い出されたのよ……」
「ぼくたちとブレーメンに行かない?音楽隊に入ろうよ!」
「それはステキ!ニャー!」
3びきになった音楽隊は、さらに進みます。
次に出会ったのは、**おんどり(にわとり)**でした。
木の上で、元気なく鳴いています。
「コケコッコー……ああ、もうおしまいだ……」
「どうしたんだい?」
「明日のごちそうにされるって聞いたんだ。だから、最後の歌をうたってるのさ」
「それなら、ぼくたちといっしょにブレーメンに行こうよ!」
「ほんとう!? 行く行く!コケコッコー!」
4ひきの動物たちは、力をあわせてブレーメンを目指します。
夜になり、森の中でひとやすみしていると、小さな家に灯りがついているのを見つけました。
そっとのぞいてみると、中ではどろぼうたちがごちそうを食べて、大騒ぎしています。
「おなか、すいたね……」
「でも、どろぼうがいるなんて……こわいよ……」
そこでロバが言いました。
「みんなで力を合わせて、追い出そう!」
まず、ロバが泥棒たちのいる部屋の窓の外で四つ足を踏んばり、
その背中に犬がぴょんと乗り、
さらにその上にネコがひらりと飛び乗り、
いちばん上にはおんどりが羽を広げて乗っかりました。
みんなでぴったりくっついて、まるで一つの大きな生きもののように見えます。
そして、息を合わせて、
「せーのっ!」
「ヒヒーン!」(ロバ)
「ワンワン!」(犬)
「ニャー!」(ネコ)
「コケコッコー!」(おんどり)
と大きな声で一斉に鳴きながら、窓から勢いよく飛び込んだのです!
どろぼうたちは、突然現れた奇妙な姿の生き物と、
耳をつんざくような大きな声にびっくりぎょうてん!
「な、なんだあれは!?おばけの怪物かー!!」
と大あわてで、ごちそうもそのままに逃げ出してしまいました。
動物たちは家の中でごちそうを食べ、あたたかいベッドでぐっすり眠りました。
次の日、ブレーメンに向かおうかと相談しましたが……
このおうちがあまりにも気に入って、みんなここに住むことにしたのです。
こうして、ロバ・犬・ネコ・にわとりのブレーメンの音楽隊は、
ブレーメンにはたどりつかなかったけれど、
いつまでもしあわせに暮らしたのでした。
🔚おしまい
読み聞かせ目安:5~7分
セリフを入れて、子どもと一緒に動物の声を出すとより楽しめます🐴🐶🐱🐔
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